top of page

​乳がんの病理結果の見方について 4

​Ki-67、MIB-1について

簡単に説明しますと、癌の増殖力を示す指標です。15%未満を増殖力は少ない、15%〜30%を増殖力が中間程度、30%以上は増殖力が高いと分けています。臨床では、20%以上でも再発しやすいグループがいるので、20%以上は要注意と考えられています。
国内の施設でKi67値別にみた手術後の生存率を分析したデータがあります。
Ki 67が19%以下は20%以上に比べて無再発生存率が良かったことが示されています。
ただし、Ki67の測定値には施設間に差があるため、再発率の予測を行う遺伝子検査があります。Oncotype-DX21、Curebest95などがその代表的な検査です。これらの検査は保険適応外です。前者は40万前後、後者は21万前後の費用がかかります。
スクリーンショット 2021-02-15 時刻 10.09.47.png
<より詳しい説明>
Ki-67は,10番染色体長腕に存在する遺伝子により発現する蛋白質です。これは細胞周期に関連する分子の1つで,休止期(G0)を除くすべての細胞核に発現するため,細胞増殖マーカーとして利用されています。
Ki-67の発現は,病理組織切片において免疫組織染色により検索します。陽性細胞はその核に発現が認められ,一定の腫瘍細胞中の陽性細胞の比率をKi-67ラベリングインデックス(LI)として表します。
腫瘍細胞におけるKi-67発現の多寡は,その腫瘍が発育する速度に関与しており,Ki-67LIが高い症例ほど増殖が速くなります。また,一般には増殖が速い腫瘍(がん)ほど悪性度が高くなります。
乳癌ではホルモン受容体陽性,HER2(human epidermal growth factor receptor type2)陰性症例における化学療法の適応決定の指標として,ほかにも再発予測因子などとして用いられています。
Ki-67を染色するための抗血清は複数ありますが,MIB-1に対するモノクローナル抗体が最も頻用されているため,この抗体とほぼ同義として記載されることがあります。
治療方針に直結する乳癌の領域では注目度が高く,現在,国際共同研究ならびに日本の学会研究班などで,標準化への試みがなされています。
bottom of page